痒い部分を掻くと痒みが広がるのはなぜ?

「痒い部分はあまり掻かない方が良い」とよく言われますが、痒みを我慢できずに掻いてしまうと、より痒みが強く・広範囲に広がっていく場合があります。

では、なぜ痒みは掻くことで症状が悪化することがあるのでしょうか?今回の記事では、痒い部分を掻くことで痒みが広がる原因について説明しましょう。

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痒みが発生する理由とは?

そもそも痒みは、体を守る防御反応の一つです。皮膚に異物が付着した時に痒みを感じることで、すぐに異物に気づき、取り除くという行動に移せます。痒みは、皮膚に異常が起きている状態を知らせるために役立つのです。

また、痒みは皮膚の問題だけでなく、内臓疾患やがん症状の一つとしても発生します。つまり痒みは、体の異常を知らせるサインであると言えるでしょう。

痒みのメカニズムについて|掻くと痒みが広がるのはなぜ?

痒みが発生するメカニズムは現段階で明らかになっていませんが、皮膚に存在する肥満細胞からヒスタミンが分泌されて、痒みにつながると言われています。ヒスタミンは痒みだけでなく痛みを引き起こす知覚神経に働きかけて、痒みを脳に伝えると同時に、神経の末端で神経ペプチドという神経伝達物質を放出します。

放出された神経ペプチドは、肥満細胞を刺激してより多くのヒスタミンを分泌させるのです。掻くことによって、さらにヒスタミンの分泌を促していき、痒みはどんどん広がって「痒みの悪循環」を起こします。もともとかゆかった場所よりも広い範囲を掻くこと、皮膚を傷つけることには注意しましょう。

痒い部分を掻いてはいけない理由

痒い部分を掻くと、一旦痒みが落ち着きますが、皮膚を傷つける・皮膚のバリア機能を取り除いてしまう恐れがあります。皮膚のバリア機能が低くなれば、皮膚が乾燥しやすくなるだけでなく、外からの刺激にも敏感になります。その結果として、皮膚トラブルを招きます。

痒みの原因として考えられる疾患

辛い痒みを引き起こす疾患・状態には、次のようなものがあります。
・汗疹
・蕁麻疹
・アトピー性皮膚炎
・帯状疱疹
・乾せん
・光アレルギー性接触炎
・乾燥肌(ドライスキン)
強い痛みが長引く場合や皮膚に湿疹などの痒み以外の症状もあるのなら、痒みの原因を医療機関で確認するべきでしょう。

痒みを抑える方法とは?

痒みをただ我慢するのは難しいものです。特に患者が子供の場合は、痒みを我慢できずに掻きむしってしまう可能性もあるでしょう。痒みを抑える方法を知っておけば、辛い痒み症状を和らげる効果が期待できます。

痒い部分を冷やす

痒みのある部分を冷たいシャワーや保冷剤などで冷やし、一時的に患部の血の巡りを鈍くします。後から痒みがぶり返す可能性がありますが、一旦辛い痒みを和らげられるでしょう。

外用薬を塗る

皮膚炎や湿疹による痒みであれば、痒みを鎮静する外用薬を使用します。痒みを掻いて悪化させてしまうよりも、早いタイミングで薬を使った方が痒みの原因を改善しやすくなります。ステロイド外用薬を使えば、炎症を抑える効果も期待できるでしょう。

保湿剤を塗る

乾燥が原因の痒みであれば、日常的に保湿剤を塗ることで予防できます。乾燥した肌は非常に敏感であり、痒みだけでなく肌トラブルも招きやすいのです。特に乾燥しやすい季節や乾燥肌の方は、肌を保湿する習慣をつけましょう。

まとめ:痒い部分を掻くと痒みが広がるのはなぜ?

いかがでしたか?痒い部分を掻くと痒みが広がる理由は、患部を掻くことで痒みの悪循環が発生するためということでした。その行為によって、皮膚が傷ついて皮膚症状は悪化してしまいますので要注意です。
辛い痒みを抑える方法には
・痒い場所を冷やす
・外用薬を塗る
・保湿剤を塗る
などが効果的です。痒い部分を掻かない工夫をして、問題の症状を早く治せるようにしましょう。