アストミンは市販されているのか?咳が起こる原因など咳の基礎知識も紹介!

「喉がイガイガして咳が出る…」
「頑張りたいことがあるのに咳がでて力がでない…」
コンコンと乾いた咳が長く続くとツラいですよね?乾いた咳に有効な咳止め薬にアストミンがあります。過去にアストミン(製造販売元:オーファンパシフィック)を服用したことのある方の中には、市販されているのか?という点が気になる方もいるでしょう。

そこで今回は、アストミンは市販されているのか?という点をテーマにお届けしていきます。アストミンの基本情報や咳についての基礎知識も紹介しますので、ぜひご覧ください。

Contents

アストミンとは?

株式会社オーファンパシフィックが製造販売するアストミンは、乾いた咳を鎮めたいときに処方される薬です。アストミンには錠剤タイプのアストミン錠10mg、散剤タイプのアストミン散10%、シロップタイプのアストミンシロップ0.25%、このように3種類の剤形があります。

<錠剤タイプについて>
錠剤は持ち運びに便利であり、砂糖でコーティング(糖衣錠)されているので、薬の苦味が苦手な方でも飲みやすいです。錠剤の服用ができるのは15歳以上となっています。

<散剤タイプについて>
散剤はいわゆる粉薬であり、錠剤に比べて体内に吸収されやすいという特徴があります。コーティングがされておらず薬の味をそのまま感じてしまいますので、粉が喉に張り付いて飲むのが苦手な方は、お薬用ゼリーを使うと良いでしょう。

<シロップ剤タイプについて>
シロップ剤を服用できるのは2歳未満から14歳のお子さんです。甘みがある液体なので、薬の苦味が苦手なお子さんでも飲みやすいでしょう。

アストミンの有効成分であるジメモルファンリン酸塩の含有量

アストミンに含まれる有効成分は「ジメモルファンリン酸塩」です。剤形により配合量が異なります。
<アストミン錠10mg>
アストミン錠10mg中、ジメモルファンリン酸塩は10mg。
<アストミン散10%>
アストミン散1g中、ジメモルファンリン酸塩は100mg。
<アストミンシロップ0.25%>
アストミンシロップ1mL中、ジメモルファンリン酸塩は2.5mg。

アストミンの後発品について

アストミン(錠10%/散10%/シロップ0.25%)は先発医薬品です。アストミンにはジェネリック医薬品(後発品)が複数の製薬会社から販売されており「ジメモルファンリン酸塩錠」や「ジメモルファンリン酸塩散」などがそれにあたります。

アストミンの効能・効果

アストミンの効能・効果は以下のとおりです。
<アストミン錠10mg、アストミン散10%>
▼下記疾患に伴う鎮咳
・上気道炎(鼻や喉の炎症)
・肺炎
・急性気管支炎
・肺結核
・珪肺および珪肺結核
(鉱山やトンネル内で仕事をする人、窯業に従事する人に多い肺の病気の一つ)
・肺がん
・慢性気管支炎
<アストミンシロップ0.25%>
▼下記疾患に伴う鎮咳
・上気道炎
・急性気管支炎
・肺炎

通常、上記のように呼吸器の病気に伴う咳の治療に用いられます。

アストミンの用法・用量

剤形により用法・用量が異なります。
<アストミン錠10mg>
15歳以上の方が服用できます。
1回あたり1〜2錠(ジメモルファンリン酸塩として10〜20mg)を1日3回服用します。
水かぬるま湯で飲んでください。年齢や症状によって、用量は増減します。
<アストミン散10%の場合>
8歳以上の方が服用できます。
・15歳以上の方
1回0.1〜0.2g(ジメモルファンリン酸塩として10〜20mg)を1日3回服用します。
・8〜14歳の方
1回0.1g(ジメモルファンリン酸塩として10mg)を1日3回服用します。
水かぬるま湯で飲んでください。いずれの場合も、症状や年齢により用量は増減します。
<アストミンシロップ0.25%>
以下の量を3回に分けて1日に服用します。
・2歳未満 3.0〜4.5mL (ジメモルファンリン酸塩として7.5〜11.25mg)
・2〜3歳 5.0〜8.0mL (ジメモルファンリン酸塩として12.5〜20.0mg)
・4〜6歳 8.0〜11.0mL (ジメモルファンリン酸塩として20.0〜27.5mg)
・7〜14歳 12.0〜14.0mL (ジメモルファンリン酸塩として30.0〜35.0mg)
年齢や症状により、用量は増減します。

アストミンの副作用

アストミンには副作用があります。おもな副作用は食欲不振、のどの乾き、吐き気やむかつき、眠気、めまいなどです。そのほか頭痛、頭重感(頭が重く、締め付けられる感覚)、嘔吐、下痢、脱力感、倦怠感、頻脈、動悸、顔のほてり、発疹などが確認されています。このような症状があらわれた場合は、すぐに服用を中止して医師や薬剤師に相談しましょう。

アストミンの服用上の注意

次の方は慎重に投与することとされています。
・糖尿病の患者、または糖尿病の疑いがある患者(血糖値を保つ働きに影響がでる場合があるため)
・高齢者(一般的に副作用が強く出る傾向があるので注意が必要)
・妊婦、授乳中の方(副作用などのリスクよりも、服用による治療上の有益性が上回ると判断できる場合のみ投与すること)

アストミンは市販されている?

株式会社オーファンパシフィックが製造販売するアストミンには、アストミン錠10mg、アストミン散10%、アストミンシロップ0.25%がありますが、結論からして医療用医薬品であるため市販されていません。

薬は医療用医薬品とOTC医薬品に大きく分けられ、医療用医薬品は基本的に処方箋が必要です。そのため、医師の診察を受けた上で処方箋を発行してもらい、調剤薬局で薬を受け取るという流れになります。一方のOTC医薬品は処方箋が必要なく、ドラッグストアなどでも購入が可能です。

アストミンの有効成分であるジメモルファンリン酸塩を含有する市販薬は存在する?

アストミンと同じジメモルファンリン酸塩を有効成分とする市販薬は、2022年2月段階では存在しません。過去には、新パブロンせき止め液という市販薬の中に含まれて販売されていましたが、現在この製品は販売中止となっています。

市販の咳止め薬を紹介

ジメモルファンリン酸塩を含有する市販薬はありませんでしたので、市販されている咳止め薬を紹介していきます。アストミンの有効成分は含まれていませんので、あくまで市販の咳止め薬として参考にしていただければと思います。有効成分は異なりますので、全く同じ効果が期待できるわけではありません。そして、現在アストミンで治療中の方は、市販されている別の咳止め薬など、安易に手を出さないことが大切です。

市販薬は、自己判断で使用できるというメリットがある分、リスクもありますので、疑問や不安がある方は購入前に医師、薬剤師または販売登録者に相談しましょう。また、咳止めに関しては、咳は異物を排除するための防御反応であるため、体力の消耗などがなく軽い咳などであれば、あえて咳止め薬を使わなくても良い場合もあります。その点を理解していただいた上で、セルフケアの参考にしていただければと思います。

・新コンタックせき止めダブル持続性(製造販売元:グラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ジャパン株式会社-第二類医薬品)
・ベンザブロックせき止め液(製造販売元:武田コンシューマーヘルスケア株式会社-指定第二類医薬品)
・コンタックせき止めST(製造販売元:グラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ジャパン株式会社-第二類医薬品)
・ルルせき止めミニカプセル(製造販売元:東亜薬品株式会社-指定第二類医薬品)
では、それぞれの市販薬について見ていきましょう。

新コンタックせき止めダブル持続性(第二類医薬品)

新コンタックせき止めダブル持続性(第二類医薬品)は、非麻薬性鎮咳剤のデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物と、気管支拡張剤のジプロフィリンが含まれた鎮咳去痰薬です。デキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物が、咳中枢を抑えて咳を鎮め、ジプロフィリンが気管支を拡げて痰を出しやすくします。15歳未満は服用できません。

ベンザブロックせき止め液(指定第二類医薬品)

ベンザブロックせき止め液(指定第二類医薬品)は、咳を和らげるジヒドロコデインリン酸塩やdl-メチルエフェドリン塩酸塩、痰を出しやすくするグアイフェネシンやセネガ流エキス、喉の痛みを和らげるトラネキサム酸が含まれた、鎮咳去痰薬です。12歳未満は服用できません。

コンタックせき止めST(第二類医薬品)

コンタックせき止めST(第二類医薬品)は、咳中枢を抑えて咳を鎮めるデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物、ジプロフィリン、気管支を拡張して楽にしてくれるリゾチーム塩酸塩が含まれています。1回1カプセルの服用で約12時間効果があります。15歳未満は服用できません。

ルルせき止めミニカプセル(指定第二類医薬品)

ルルせき止めミニカプセル(指定第二類医薬品)は、咳を鎮めるデキストロメトルファン臭化水素酸塩水和物やノスカピン、痰を排出しやすくするリゾチーム塩酸塩、気管支を広げるdl-メチルエフェドリン塩酸塩などが含有された鎮咳去痰薬です。ミニカプセルとなっており、服用しやすいサイズになっています。8歳未満は服用できません。

咳が起こるメカニズムとは?

そもそも咳はどうして出るのでしょうか?咳は体の中に入ってきたホコリや細菌などの異物を吐き出す体の防御反応です。体内に異物が入ると、喉や鼻、気管支や肺などの粘膜に付着します。これらの異物の侵入を感知する器官を「咳受容体」といいます。

咳受容体は異物の侵入があると延髄にある咳中枢に「体内に異物が入ってきた」と伝えます。すると咳中枢は横隔膜や肋間膜といった呼吸を行う筋肉に対し「異物を吐き出すために咳をしてください」と命令します。これが、咳がでるメカニズムとなっています。

咳には2種類ある

ひとことで「咳」といっても原因や咳の性質により2種類に分けられます。ひとつは痰が絡まない乾いた咳。「コンコン」「コホンコホン」といった音の咳であり、これを「乾性咳嗽(かんせいがいそう)」といいます。

もうひとつは痰が絡んだ咳であり、「ゴホンゴホン」「ゲホンゲホン」と喉の奥で水分が絡んだ音がします。「湿性咳嗽(しつせいがいそう)」とも呼びます。痰も体の防御反応のひとつです。肺や気管支の分泌液に細菌やウイルス、ホコリなどの異物を絡ませて体外へ排出させます。

咳は体の中に入ったホコリや細菌などの異物を、体の外に出して体を守るためにあるので、むやみに止めない方がよい場合もあります。ですが咳が続くと体力が奪われて疲労を感じたり、胸や喉が痛くなったりしますよね。そういった場合は咳の原因や症状に適している薬を飲んで咳を鎮めます。

咳止め薬にも2種類ある

咳を止める薬のことを医療用語で「鎮咳薬(ちんがいやく)」といいます。咳が2種類あるのと同様に、咳止め薬にも2種類あります。
(1)中枢性鎮咳薬
延髄の咳中枢に直接作用し、咳を抑えるよう働きかける薬です。中枢性の薬はさらに「非麻薬性」と「麻薬性」に分けられます。今回紹介したアストミンは、咳中枢に働きかけて咳を抑える薬で、乾いた咳に適しています。非麻薬なので、依存性もありません。

(2)末梢性鎮咳薬
気管支や肺などの咳受容体に作用します。異物が侵入して起こる炎症を抑えたり、咳受容体の働きを抑制したりして咳を鎮めます。

まとめ:アストミンは市販されているのか?咳が起こる原因など咳の基礎知識も紹介!

いかがでしたか?今回の内容としては、
・アストミンには錠剤タイプ、散剤タイプ、シロップタイプがある
・アストミンは上気道炎や肺炎に伴う咳に効果を発揮する
・アストミンは医療用医薬品であるため市販されておらず有効成分を含有する市販薬も存在しない
・咳止めの市販薬にはコンタックせき止めSTなどがある
・咳は異物を排除する防御反応であり、咳が出るメカニズムに咳受容体や咳中枢が関わっている
以上の点が重要なポイントでした。長引く咳は体力の消耗などに関わってきますので、市販薬を検討するのも一つの手です。しかし、自己判断にはリスクもある点に注意し、不安な点があれば、医師、薬剤師または販売登録者に相談しましょう。