母子感染とは?母子感染の主な感染症について

妊娠中の女性が何らかのウイルスや細菌などに感染し、お腹の中の胎児にも同じ感染症をうつしてしまうことを母子感染と呼びます。ただし、全ての感染症が母子感染の可能性を持っているわけではありません。

今回は母子感染とは何か?という点をテーマに、母子感染を起こす感染症などについて紹介していきます。

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母子感染とは?

ウイルスや細菌などの微生物が母体から胎児に感染することを母子感染と呼び、妊娠前から該当する微生物を母体が持っていた場合と、妊娠中に妊婦が該当の感染症に感染する場合の2つのパターンがあります。その感染経路は次の通りです。

胎内感染

胎内感染は赤ちゃんがお腹の中にいる状態で、母子感染が起きることを指しています。

産道感染

分娩中に赤ちゃんが産道を通る時に起こる感染です。

母乳感染

産後の母体から出る母乳で、赤ちゃんに感染が広まってしまうことです。

母子感染を起こす感染症とは?

母子感染を起こす感染症には、次のようなものがあります。

HTLV-1(ヒトT細胞白血球ウイルス)

母乳感染するウイルスで、感染者のほとんどが病気を発症することなく一生を過ごしますが、一部の人は感染後40年以上経過してから成人T細胞白血病という病気になる可能性があります。

風しん

風しんウイルスによって起こる感染症です。妊婦が妊娠4〜20週の間に初めて風しんウイルスに感染すると、赤ちゃんに難聴・白内障・緑内障・心臓疾患の障害が現れる可能性があります。このことを先天性風しん症候群と呼び、風しんに罹った経験がない女性は十分注意しなくてはいけません。

HIV感染症

赤ちゃんに感染し、症状が進行した場合は後天性免疫不全症候群(エイズ)を発症します。

B型肝炎

多くの場合は感染をしても無症状ですが、稀に重い肝炎を起こす可能性が考えられます。
また、将来的に肝硬変・肝がん・肝炎になる方もいます。

C型感染

B型肝炎同様、感染後もほとんどの場合は無症状であるものの、将来的に肝硬変・肝がん・肝炎になる恐れがあります。

梅毒

梅毒が母子感染すると、赤ちゃんの骨・神経に問題が生じる先天梅毒を引き起こす可能性があります。

性器クラミジア感染症

クラミジア・トラコマチスを原因とした感染症で自覚症状が出ません。産道感染しやすく、感染した赤ちゃんは新生児肺炎や結膜炎を起こしてしまいます。

B群溶血性連鎖球菌

女性の膣内や肛門付近に認められることが多い細菌で、産道感染しやすいものです。赤ちゃんが感染すると、敗血症・髄膜炎を引き起こす恐れがあるでしょう。

母子感染を防ぐための検査について

このような母子感染を防ぐために、産院では妊娠中に感染症の検査をします。前の章でお伝えした感染症は、全て妊婦健康診査にて検査が行われる感染症です。妊婦健診検査で検査が行われないけれど母子感染の恐れがある感染症には、下記のようなものがあります。
・トキソプラズマ症
・サイトロメガロウイルス
・水痘
・性器ヘルペス

母子感染を防ぐためにできること

母子感染を防ぐためには、妊婦健診をしっかりと受けることと・妊娠中に感染症に罹らないために感染症予防対策を取ることが大切です。具体的には手洗い・うがいの徹底と清潔を心掛けましょう。また、検査で感染症が見つかった場合には、感染症の種類によって治療や保健指導が行われます。

まとめ:母子感染とは?母子感染の主な感染症について

いかがでしたか?母子感染を起こす可能性がある感染症には、
・HTLV-1(ヒトT細胞白血球ウイルス)
・風しん
・HIV感染症
・B型肝炎
・C型感染
・梅毒
・性器クラミジア感染症
・B群溶血性連鎖球菌
・トキソプラズマ症
・サイトロメガロウイルス
・水痘
・性器ヘルペス
などがあるということでした。母子感染を防ぐためには、妊娠中の感染症検査や感染症対策が欠かせません。赤ちゃんに病気をうつさないためにも、十分な対策を心掛けましょう。