ゲンタシン軟膏は市販されている?ゲンタシン軟膏と成分が似ている市販薬は?

皮膚の感染症や切り傷の感染予防などで用いられる塗り薬「ゲンタシン軟膏0.1%」をご存知でしょうか?ゲンタシン軟膏とは、さまざまな感染症に効果のある抗生物質であるため、過去に使用されたことのある方もいるかもしれませんね。

この記事では、「ゲンタシン軟膏は市販されているのか?」そして「ゲンタシン軟膏と成分が似ている市販薬」をテーマにお届けしていきます。ゲンタシン軟膏をご存知でない方もいらっしゃると思いますので、ゲンタシン軟膏の基本情報をお伝えしたうえで、本題であるゲンタシン軟膏は市販されているのか?等について解説していきます。

Contents

ゲンタシン軟膏とは

ゲンタシン軟膏は、(高田製薬株式会社が製造販売)部分的な皮膚感染症の治療に使用する医療用医薬品であり、抗生物質を含む外用薬です。剤形は軟膏(ゲンタシン軟膏0.1%)とクリーム(ゲンタシンクリーム0.1%)があり、使用感の違いはありますが効果効能に差はありません。抗生物質とあると細菌性胃腸炎の時に処方される飲み薬や、抗生物質の代表であるペニシリンのような点滴薬のイメージを持っている方が多いのではないでしょうか。

実際には、患者さまの症状や感染症の原因になっている細菌などの種類によって使い分けられています。ゲンタシン軟膏は有効成分の特性上飲み薬はありませんが、数ある抗生物質の中でも皮膚科で処方されることが多い外用薬です。

そもそも抗生物質とは?

そもそも抗生物質は、細菌などの微生物の増殖を抑制する薬(微生物がつくった化学物質)のことをいいます。細菌を殺すことができ、細菌による感染症を治療することができます。抗生物質は細菌に効く薬であってウイルスに効く薬ではありませんので、ウイルス感染が主体の風邪・インフルエンザに抗生物質は効きません。

例えば、傷口が汚れていたりすると、付着した異物などによって細菌が感染して炎症を起こしてしまうことがあり、皮膚に膿が溜まってしまうこともあります。もし化膿する場合には、なんらかの原因で細菌感染が広がっていると言えますので、そのような場合に抗生物質を含む軟膏などが用いられます。

ちなみに抗生物質を用いる病気として有名なのは、細菌が原因である場合が多い肺炎が挙げられます。

ゲンタシン軟膏の効果効能

ゲンタシン軟膏の適応菌種は以下のとおりです。
・ゲンタマイシンに感性のブドウ球菌属や肺炎球菌を除くレンサ球菌属
・大腸菌
・緑膿菌
・クレブシエラ属
・エンテロバクター属
・プロテウス属
・モルガネラ・モルガニー
・プロビデンシア属
このように多くの細菌に効果があります。

具体的な適応症は、表在性皮膚感染症や慢性膿皮症、びらん・潰瘍の二次感染となっています。

ゲンタシン軟膏に含まれる成分

ゲンタシン軟膏に含まれる有効成分は「ゲンタマイシン硫酸塩」です。ゲンタマイシン硫酸塩はアミノグリコシド系抗生物質と呼ばれるタイプの抗生物質で、細菌のタンパク合成を阻害することで殺菌的に作用します。抗菌効果を示す範囲がとても広く、皮膚感染症を引き起こす多くの細菌類に対して効果がある成分です。

ステロイド成分は含んでいないため炎症を直接おさえる効果はありませんが、皮膚の表面に繁殖している細菌の増殖を抑えることで、治りを早めたり症状が悪化するのを防ぐことができます。ゲンタシン軟膏は、添加物として「パラオキシ安息香酸メチル」「パラオキシ安息香酸プロピル」「流動パラフィン」「白色ワセリン」を配合しています。

薬の分類について

ゲンタシン軟膏が市販されているのか、という点を説明するために薬の分類について知ると、深く理解することができます。
医薬品の分類 ネット販売可否 対応者
医療用医薬品 処方箋医薬品 不可(対面販売) 薬剤師
処方箋医薬品以外 不可(対面販売) 薬剤師

OTC医薬品分類 ネット販売可否 対応者
要指導医薬品 不可(対面販売) 薬剤師
一般用医薬品 第一類医薬品 ネット販売可 薬剤師
第二類医薬品 ネット販売可 薬剤師・登録販売者
第三類医薬品 ネット販売可 薬剤師・登録販売者

薬の分類は上記になりますが、それぞれについて詳しく見ていきましょう。

医療用医薬品

医療用医薬品は基本的に病院に行って医師の診断を受け、処方箋を発行してもらい調剤薬局で受け取るものです。医療用医薬品は効能・効果の面で効き目がある一方で、副作用の心配もあるため安全面から市販はされていません。また、そのような観点からネット販売が不可であり、対面販売の必要性があります。

OTC医薬品

OTC医薬品は、ドラッグストアでも購入することができ、「第一類医薬品」「第二類医薬品」「第三類医薬品」は、ネット販売も可能であるため手軽に手にすることができます。医療用医薬品と比べると含有される成分の量が少ないことが多く、そのため安全性は医療用医薬品と比べて高いと言われています。

ただし、副作用などがないわけではなく必ずそのような恐れがあるためOTC医薬品の中でも要指導医薬品や一般用医薬品、先述した「第一類医薬品」「第二類医薬品」「第三類医薬品」というように細かく分類されています。

ゲンタシン軟膏はどれに分類される?

では、ゲンタシン軟膏は上記のうちのどれに分類されるかというと、医療用医薬品に分類されます。先述したとおり、医療用医薬品はネット販売が禁止されているため手軽に手にすることができませんし、市販がされていません。そして、作用や使用方法などの面で医師や薬剤師などの専門家による管理が必要となっています。

ゲンタシン軟膏の医薬品分類について

ゲンタシン軟膏に含まれている成分が「ゲンタマイシン硫酸塩」ですが、ゲンタマイシン硫酸塩が含まれている市販薬は販売されていません。しかし、ゲンタシン軟膏と抗生物質の成分は違うものの、抗生物質を含む塗り薬は市販されています。もちろん、ゲンタシン軟膏と成分が異なるため、得られる効果が同じではない点は注意しましょう。

抗生物質を含む塗り薬(市販薬)としては、
・フルコートf
・ドルマイコーチ軟膏
・テラマイシン軟膏
・ドルマイシン軟膏
・ドルマイコーチ軟膏
・テラマイシン軟膏
・テラ・コートリル軟膏
・クロマイ-N軟膏
これらが挙げられます。
ゲンタマイシン硫酸塩はアミノグリコシド系抗生物質というグループに分類されているとお伝えしましたが、このグループに分類されている抗生物質に、フラジオマイシン硫酸塩があります。

この、フラジオマイシン硫酸塩が含まれている市販薬にクロマイ-N軟膏がありますので、こちらを深堀りして紹介していきます。

クロマイ-N軟膏とは?

クロマイ-N軟膏は、第一三共ヘルスケア株式会社が製造販売元の化膿性皮膚疾患用薬であり、ゲンタシン軟膏の成分と同じグループのフラジオマイシン硫酸塩のほか、クロラムフェニコールとナイスタチンが成分として含有しています。

フラジオマイシン硫酸塩とクロラムフェニコールは抗生物質であり、ナイスタチンは抗真菌剤となっていて、化膿した患部を治してくれます。軟膏は油性となっていて患部を保護しますので、カサカサした患部からジュクジュクした患部まで広く使用できます。

クロマイ-N軟膏の効能・効果

効能・効果としては、
・とびひ
・めんちょう
・毛のう炎
が挙げられ、このような化膿性皮膚疾患に作用します。

とびひとは?

とびひの正式な病名は伝染性膿痂疹といい、細菌による感染症のひとつになります。水疱があっという間に全身に広がる様子から火の粉が飛び火することのようであるため、とびひと呼ばれています。湿疹や虫刺されなどを搔きむしった部位から周囲に広がるわけですが、とびひの原因は主に、黄色ブドウ球菌や溶血性レンサ球菌といった種類の細菌になります。

とびひには、水ぶくれができるものと、かさぶたができるものがあります。水ぶくれができるものは膿を持つようになった患部が破れ、それによって皮膚がめくれてしまいただれが起きます。そして、その部位を触った手で別の部位を触ることで、あちこちに広がっていきます。

かさぶたができるタイプでは、膿のたまった水ぶくれが破れてかさぶたができます。それぞれ、人にうつってしまう心配があるため、集団発生してしまうこともあります。

めんちょうとは?

めんちょうとは漢字で面疔と書き、鼻や口周りなどの顔に起こるできもののことをいいます。これは毛穴から細菌が侵入しその毛穴を中心として病変ができるのですが、患部は赤く盛り上がりそして、膿を持った点ができます。

過度の保湿などにより毛穴をふさいでニキビが生じ、それが進行してめんちょうがおきますので、もしめんちょうができた場合には清潔に保つことが大切になります。

毛のう炎とは?

赤みを帯びてその部位が盛り上がり、膿が中央にできれば毛のう炎の可能性があります。毛のう炎は、毛包(毛穴の奥の毛根を包んでいる部分)に起こる炎症であり、毛包にできた傷から細菌感染することにより起こります。

毛の根本が小さな赤い、または白い吹き出物ができますが、ニキビと症状は似ています。毛のう炎は太ももや臀部、首の後ろや陰部付近にできやすいという特徴があります。1箇所のみ症状があらわれる場合もありますし、複数個所にできる場合もあります。

クロマイ-N軟膏の副作用について

ゲンタシン軟膏の副作用には、以下のような症状が現れることがあります。

・発疹
・かゆみ
・赤み
・腫脹
・丘疹
・小水疱

同様にクロマイ-N軟膏にも副作用があり、以下のような症状が挙げられます。
・発疹
・発赤
・かゆみ
・はれ
・水疱
使用後、このような症状があらわれれば副作用の心配がありますので、使用を中止して医師、薬剤師または販売登録者に相談しましょう。

発赤とは?

かゆみや発疹、はれなどはお伝えしなくてもどのようなものか分かると思いますが、発赤についてはどのような症状なのか?そしてどう読むのかご存知でないかもしれませんね。発赤は、はっせきと読み、炎症などで一部分が赤くなることをいいます。

発赤には持続性の発赤と一時的な発赤があり、持続性の発赤は褥瘡(寝たきりなどが原因で血流が悪くなってただれや傷が起こる)の発生初期に観察されることが多くあります。赤くなっている部位を押して、白く変化する場合であれば持続性の発赤ではないと考えます。

水疱とは?

水疱とは、一般に水ぶくれと呼び、組織液がたまって水様に透けて見えるものをいいます。この組織液は、損傷した組織からにじみ出た水分とたんぱく質が混ざったものであり、虫刺されややけどなどによって起こることはよく知られています。そのほかに、ウイルス性疾患によるものもあります。

水疱ができる原因としては、下記が挙げられます。
・やけど
・虫刺され
・とびひ
・帯状疱疹
・かぶれ

クロマイ-N軟膏の使用について

クロマイ-N軟膏は、1日に1回~数回患部に塗布します。子供が使用する場合は保護者の前で塗り、目の中に入った場合はすぐに洗い流しましょう。もし、水やぬるま湯で洗い流しても目の症状が重たい場合には眼科に行ってください。

クロマイ-N軟膏の使用上の注意

クロマイ-N軟膏の使用、または抗生物質によってアレルギー症状を起こしたことがある人は使用してはいけません。また、目の周囲や目には使用できませんので注意しましょう。
そのほかは長期連用しないことが、注意点として挙げられます。

こんな人は使用前に相談すること

下記にあてはまる人は使用前に、医師または薬剤師、販売登録者に相談してください。
・ひどいやけどの人
・深い傷の人
・ひどいただれの人
・患部が広範囲の人
・医師の治療を受けている人
・薬などによりアレルギー症状をおこしたことのある人
・ただれのひどい人

まとめ:ゲンタシン軟膏は市販されている?ゲンタシン軟膏と成分が似ている市販薬は?

いかがでしたか?今回の内容としては、
・ゲンタシン軟膏は皮膚感染症に用いられる抗生物質を含む外用薬であり市販はされていない
・そもそも抗生物質は細菌などの微生物の増殖を抑制する薬である
・ゲンタシン軟膏の主成分はゲンタマイシン硫酸塩でありアミノグリコシド系抗生物質のグループに分類される
・アミノグリコシド系抗生物質のグループに分類される成分はクロマイ-N軟膏に含まれている
・クロマイ-N軟膏の効果はとびひ/めんちょう/毛のう炎が挙げられる
以上の点が重要なポイントでした。ゲンタシン軟膏は市販されていませんが、抗生物質を含む外用薬はありますので、今回の内容を参考にしていただければと思います。