軟膏とは?クリームとは何が違うのか?塗り薬の基礎知識

「軟膏とは一体どのような薬のことなのだろう…」
「軟膏とクリームの違いは一体…」
塗り薬として、これまでに軟膏やクリームをお使いになられてきたことと思いますが、軟膏とクリームにはどのような違いがあるかご存じでしょうか?また、塗り薬はどれも大差ないだろう…と思われている方もいるかもしれませんね。しかし、塗り薬と一口に言っても特徴や使用感は異なってくるのです。

この記事では「軟膏を含めた塗り薬についての基本的な知識」とともに、「塗り薬利用時の注意点」などについて解説していきます。

Contents

軟膏とは?~一般的な特徴~

軟膏とは、白色ワセリンなど油性基材をベースにした塗り薬のことを指しています。刺激が弱く肌の弱い方にも適しており、乾燥した患部・湿潤した幹部の両方に使用可能です。

保湿力が高いため、皮膚を保護する効果がありますが、その分ベタつきが強く、人によっては塗りにくい・扱いにくいと感じる方もいるでしょう。

クリームとは?~一般的な特徴~

クリームは油性成分に加えてグリセリンや水などの水分が含まれた薬剤のことです。乾燥した箇所には利用可能ですが、軟膏よりも刺激が強いため湿潤した患部には使えません。

さらっと伸びが良くベタつきにくいという特徴があるものの、簡単に落ちてしまったり、水で流れてしまうなどのデメリットも持っています。※これらは一般的なクリームの特徴になります。

軟膏とクリームの違いとは?

軟膏とクリームの違いは、水分が含まれているかどうかにあります。軟膏には水が含まれていませんが、クリームには水やグリセリンなどの水分が入っています。

そのため、軟膏に比べてクリームの方がさらっとしておりベタつかないものの、水に流れやすいのです。また、軟膏よりもクリームの方が肌への刺激が強くなるため、傷がある場所への利用は適していません。※これらは一般的な特徴から見た違いになります。

軟膏やクリームの保管には注意をすること

塗り薬は開封後放置すると、容器内で細菌やカビが繁殖してしまう恐れがあります。細菌・カビは水分のあるところで繁殖することから、クリームには元から防腐剤が含まれています。しかし保存方法が悪いと防腐剤が十分に作用せず、細菌やカビが増えてしまうのです。

軟膏には細菌やカビが好む水分が含まれていませんが、軟膏を使用する際に、手についた水分が容器内に入ってしまうと、クリームと同じく細菌やカビが繁殖します。塗り薬の容器内を清潔に保つために注意するべきことは下記の通りです。
・塗り薬はきちんと蓋を閉めて保管する
・湿気の少ない場所で保管する
・指定された保存温度で保管する
・指定された使用期限を守り開封後は早く使い切る

軟膏のメリット・デメリット

軟膏のメリットには、患部への刺激が少なくほとんどの皮膚疾患に使用可能だという点があります。特にジュクジュクした傷には水に溶ける性質を持つ水溶性の軟膏が適しているでしょう。皮膚をしっかり保護できるため、乾燥対策にも有効です。

ただし、ベタつきが強く使いにくさを感じられることもあります。手先に軟膏を付けると、触れたものにそのベタつきが付いてしまうでしょう。

クリームのメリット・デメリット

クリームのメリットには、さらっとして塗りやすく簡単に水で流せるという点があります。肌に浸透しやすいので、水虫や筋肉痛など皮膚の深いところに浸透させることを目的とした塗り薬に最適です。

デメリットとしては、ジュクジュクしている傷には利用できない・汗で薬が流れてしまうなどがあります。また、軟膏に比べて刺激が強いため、お肌に合わないと感じる方もいるでしょう。

塗り薬使用の際の注意点について

塗り薬を使用する際には、使用前後によく手洗いをすることが大切です。手が清潔でなければ、患部を悪化させてしまったり塗り薬の中に細菌を混入させてしまったりする恐れがあるでしょう。

また、患部に容器から直接塗り薬を塗らず、必ず一度薬を手か綿棒などに取ってから利用してください。塗り薬を清潔に正しく使うには、自分の手や患部から、細菌や水分を容器内に入れないための注意が必要です。

どれぐらいの量を塗ればいいのか?

塗り薬はその他の剤形の薬に比べて添付量が分かりにくいために、どのくらいの量を患部に塗れば良いかが把握しにくいです。

そこで近年、塗り薬を塗る単位として用いられているのが1FTU(Finger tip unit)です。1FTUは、人差し指の先端から第一関節まで塗り薬を容器から絞り出した量のことで、約0.5gを目安にしています。

25g・50g入りの容器であれば、一度の絞り出しで済みますが、薬が5g容器に入っている場合は、同じ範囲で2度絞り出した量が1FTUになります。ちなみに、1FTUはステロイドの塗り薬に適用される目安値です。

ただし、医師や薬剤師から使用する塗り薬の量について指示があった時には、その分量を優先させてください。

塗り薬の塗る回数は?

軟膏やクリームなどの塗り薬は、医師や薬剤師から使用回数の指示があります。薬を塗る回数が少なければ十分な効果が得られず、多すぎると副作用につながる可能性も考えられるため、その指示を厳守しましょう。

一般的にアトピー性皮膚炎の治療で使用されるステロイド外用薬は、1日1〜2回のような使用回数の指示が出ます。症状が改善すればその回数が1日1回・さらに良くなれば週に1回〜2回と減っていくのです。また、保湿を目的とした塗り薬の利用は1日1回ではなく、複数回塗った方がより高い効果が得られます。

まとめ:軟骨とは?クリームとは何が違うのか?塗り薬の基礎知識

いかがでしたか?今回の内容としては、
・軟膏とは白色ワセリンなど油性基材をベースにした塗り薬のことである
・クリームとは油性成分に加えてグリセリンや水などの水分が含まれた薬剤のことである
・塗り薬は菌が入ったりしないようにきちんと蓋を閉めて保管すること
以上の点が重要なポイントでした。
そして、軟膏とクリームの違いは、水分が含まれているかどうかという点にあります。それぞれにはメリットがあり、薬の種類や用途によって使い分けられているのです。

軟膏のメリットは、
・刺激が少なくどのような患部にも利用できる
・皮膚を守る効果があり保湿にも最適
・水で簡単に流れ落ちない
以上が挙げられます。ドラッグストアなどで塗り薬を購入する場合には、期待する効果や利用場面を考えた上で、その種類を選択すると良いでしょう。

薬剤師からの一言

クリームに水分が含まれているのは、界面活性剤によって乳化することで水分と油分を混ぜ合わせています。