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海外から医薬品を通販しようとお考えの方へ|個人輸入のリスクと被害
今や、インターネットであらゆる商品を海外から簡単に輸入できるようになりました。
しかしながら、それ故のトラブルが後を経たないことも現状です。
中でも医薬品や化粧品といった直接肌につけるものや、体に入るもののトラブルは、体に危害を及ぼし、最悪の場合、死に至るケースも報告されています。
今回の記事では、実際にあった偽物医薬品による健康被害例、個人輸入する際の注意点などをご紹介します。
海外通販サイトから医薬品などを購入しようと検討中の方は、今一度、この現状を把握し、本当にその商品が自分にとって必要なのかなど、十分に検討した上で購入しましょう。
Contents
ネットには偽物医薬品が出回っている
ネットには、偽物医薬品が多く出回っています。直接商品を確認してから購入しないため、本物と偽物の区別がつきにくく「写真と全く違うものが届いた」などのトラブルは年々増加しています。
販売元に連絡をしようとサイトを見たら、すでにサイトがなくなっていたなど、購入者が支払いのみを行い、商品は手に入らなかったという残念なケースも後をたちません。
ネットで販売される商品の多くは、女性や男性特有の悩みに特化した商品がほとんどです。
また、たとえ偽物であっても本物そっくりに作られています。
過去に、EDのお薬(バイアグラ)を海外サイトで購入し、偽物だったために健康被害に遭われる事例もありました。海外サイトから購入の場合、残念ながら副作用が出たとしても対応してもらえないことがほとんどです。
全て『自己責任扱い』となり、何かあったとしても泣き寝入りせねばなりません。粗悪な医薬品を服用したために、重篤な副作用が起こり、後遺症を抱えることになってしまった方もいらっしゃいます。購入する側は、『一度服用してしまったら、後戻りはできない』という危機感を、忘れてはなりません。
『無承認無許可医薬品』による健康被害例
ネットに出回る『無承認無許可医薬品』(日本の医薬品、医療機器等の品質の有効性、安全性が確認されていないもの)の危険性を注意喚起すべく、厚生労働省は実際に起こった健康被害例をホームページに掲載しています。その被害例をいくつかご紹介します。
中国製ダイエット健康食品による被害例
中国で製造、販売されているダイエット用健康食品を服用した方が、健康被害にあいました。
症状は、肝機能障害、甲状腺障害。多くの方が入院され、1名の死亡が確認されています。
【商品例(一部)】
・御芝堂減肥こう嚢
・せん之素こう嚢
・茶素減肥
・ハイパータイト
・えん酸芬ふる拉明片
・御芝堂清脂素
など
タイ製のダイエット目的の処方薬による被害例
タイで製造販売される、ダイエットを目的とした処方薬により、悪心、しびれ、甲状腺機能亢進、幻覚、幻聴、意識障害、動機などを起こす被害が出ています。
くわえて、死亡された方もいます。この処方薬には向精神薬等が含まれていたことも報告されています。
【商品例】
・MDクリニックダイエット
・ホスピタルダイエット
・ヤンヒーダイエット
・ドクターダイエット
など
フランス製の豊胸用シリコンバッグ使用で乳がんの可能性
平成23年12月23日、フランス保健省から、フランスのポリー・インプラント・プロテーゼ社が製造した豊胸用シリコンバッグにて、乳がんのリスクが高まるとの報告がありました。
根拠はないにせよ予防的な観点から、可能ならばシリコンの摘出を、もしくは乳がん検診にて経過を観察するよう呼びかけています。この商品は日本で承認されてはいませんが、個人輸入されたとの情報から、厚生労働省が注意を呼びかけています。
これらは被害例はほんの一部でしかありません。見てわかるように、日本で承認されていない『無承認無許可医薬品』がどれほど危険なものなのか、おわかり頂けたかと思います。自分の身を守るためにも、『無承認無許可医薬品』の安易な購入、服用は避けましょう。
医薬品の個人輸入に関する注意点
もしも医薬品を個人輸入される場合は、以下の点に注意しましょう。
①輸入した医薬品は自分しか使えない
個人輸入する医薬品や化粧品等に関し、販売、転売、譲渡することは許されません。あくまで自分のみが使用することを大前提に購入が許されています。
粗悪な輸入医薬品等が日本に出回ることを避けるため、原則として、『営業のための輸入ではないこと』の証明を記載する『薬監証明』を地方厚生局に提出するよう定められています。しかし、特例的に、税関の確認を受けた上で『薬監証明』なしに購入できるケースもあります。
『薬監証明』なしで輸入できる条件
▶︎医薬品または医薬部外品(サプリメント、養毛剤、浴用剤、ドリンク剤含む)】
・外用薬:標準サイズで1品目24個以内
・毒薬、劇薬、処方箋薬:用法容量からみる使用期限が1ヶ月以内
・上記以外の医薬品、医薬部外品:用法容量からみる使用期限が1ヶ月以内
▶︎化粧品
・ブランドなど関わらず1品目に対し24個以内
▶︎医療機器(美容機器含む)
・家庭用医療機器(電気マッサージ器等):1セット
・使い捨て医療機器(コンタクトレンズ等):2ヶ月以内
・対外用診断薬(排卵検査薬等):2ヶ月以内
②輸入が規制される薬物
『麻薬及び向精神薬取締法』により、医療用の麻薬および向精神薬の輸入を個人で行うことは禁止されています(医師から処方された薬を本人が携帯し入国する場合を除く)。もしも違反した場合はペナルティーが課せられます。
それに加えて、覚醒剤やその原料、大麻に関しても『覚醒剤取締法』『大麻取締法』により処罰の対象に。そのほか、『RUSH』『サルビノリンA』『5-MeO-MIPT』など、医薬品医療機器等法第2条第15項の規定に基づき指定されている薬物も、一定の条件を満たさない限り、輸入が禁止されています。
海外と日本の医薬品の違いについて
『無承認無許可医薬品』と、日本で販売されている医薬品には、どのような違いがあるのでしょう。
国内で流通する医薬品は『医薬品医療機器等法』に従い、厳しい管理が義務付けられています。
また、副作用を生じた場合のアフターフォロー(救済制度)もきちんと設けられています。
『医薬品医療機器等法』とは?
『医薬品医療機器等法』とは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性などに関する運用などを定めた規則です。日本の医薬品は全て、この規制をクリアしたもののみ販売されています。
加えて、用法容量を守り正しく服用したにも関わらず、重大な副作用を生じた場合には『医薬品副作用被害救済制度』が設けられています。この制度は、病院のお薬だけでなく、OTC医薬品も同じです。
必要性をよく考えて輸入しましょう
海外から輸入する医薬品には、数多くの危険が潜んでいます。リスクはもちろんのこと、輸入する際の注意点についての正しい知識を知り、そのうえで必要性についても再度よく検討し、安全性の高いものを選んで下さい。不安な時は、医師や薬剤師に相談してから購入、服用しましょう。