蓄膿症に用いられる漢方薬を3つ紹介!

2021.01.16

「最近、黄色い鼻水が出て頭痛もする・・・」
「蓄膿症が再発して辛い!どの漢方薬が良いの?」
日常生活に支障をきたすことがある蓄膿症は、鼻詰まりや鼻水・頭痛など様々な症状を引き起こし、勉強や仕事に集中ができなくなります。また、嫌な匂いがすることもあるため、一刻も早く対処したい病気であると言えます。

そこで今回は、蓄膿症に用いられる漢方薬を3つ紹介したいと思います。そもそも蓄膿症とはどのような病気であるのか?という点も併せて紹介しますので、ぜひご覧ください。

Contents

蓄膿症とは?

まず初めに、蓄膿症とはどのような病気なのか?病態・症状に分けて解説します。

蓄膿症の病態

蓄膿症は別名慢性副鼻腔炎とも呼ばれ、鼻の横にある副鼻腔に膿が溜まった状態です。蓄膿症の原因は風邪によって引き起こされることがあり、風邪が治ったと思えば鼻症状だけ続き、気付いたら蓄膿症になっていた…というケースが多々あります。

風邪から蓄膿症になる流れとしては、風邪の際にウイルスが副鼻腔の中に入って炎症が起き、鼻水の排泄力が低下して副鼻腔に膿が溜まり発症…といった流れになります。

蓄膿症の症状

では、どのような症状が起こるのでしょうか?特徴的な症状は以下の通りです。

・鼻閉感(鼻詰まり)
・粘り気のある黄色い鼻水
・鼻から不快なニオイ
・頭痛・頭重感

粘り気のある黄色い鼻水は風邪の際にも起こる症状ですが、鼻から不快なニオイがする場合には蓄膿症の可能性もあります。

蓄膿症とアレルギー性鼻炎の違い

「蓄膿症の症状は理解できたが、アレルギー性鼻炎とは何が違うのだろうか…?」このように、蓄膿症とアレルギー性鼻炎の違いはわからない方がほとんどでしょう。

決定的な違いは、顔(特に副鼻腔)のレントゲンを撮った時にあらわれます。蓄膿症は副鼻腔に膿が溜まった状態なのでレントゲンでわかりやすく、ここで膿の存在がわかれば蓄膿症が確定するでしょう。

次に、黄色い鼻水や不快なニオイ、頭痛が酷いのであれば蓄膿症を疑います。(重症度によっては透明の鼻水の場合もあります)アレルギー性鼻炎は、基本的に透明のサラサラした鼻水が出ますし、膿は溜まっていないので変なニオイはしません。

医療用漢方製剤と一般用漢方製剤について

病院などで処方される漢方薬(医療用漢方製剤)と、ドラッグストアなどで購入できる漢方薬(一般用漢方製剤)の違いについて皆さんご存知でしょうか?医療用漢方製剤とは、医師の診断を受け処方箋のもと処方される医薬品のことをいい、一方の一般用漢方製剤は、薬局やドラッグストアなどで販売されている服用者自身が選べる医薬品になっています。

ドラッグストアで販売されている一般用漢方製剤の分類は第二類医薬品であるため、医師の処方箋は必要ありません。そして、安全性を考慮して一般用漢方製剤に含まれる成分量は少ない場合があります。

蓄膿症(副鼻腔炎)に用いられる漢方薬を紹介!

続いて、蓄膿症(副鼻腔炎)に用いられる漢方薬について見ていきましょう。※一般用漢方製剤について述べていきます。

今回ご紹介する蓄膿症(副鼻腔炎)に使われる漢方薬は、

・荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
・辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)
・葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)
以上の3つになります。それでは、1つ1つ解説していきます。

荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)

荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)は、中国の医書(万病回春)に収載されている処方を基本に発展された漢方となっています。

荊芥連翹湯には、ツムラ漢方荊芥連翹湯エキス顆粒(第二類医薬品)や、荊芥連翹湯エキス錠Fクラシエ(第二類医薬品)などがあります。
皮膚の色が浅黒かったり、手足の脂汗をかきやすく腹壁が緊張している、体力中程度以上の方にオススメであり、蓄膿症(副鼻腔炎)・慢性鼻炎・慢性扁桃炎・にきびに効果があります。購入に際して、医師の治療を受けている人や、妊娠または妊娠していると思われる人、そして胃腸が弱く下痢しやすい人は、服用前に医師または薬剤師・販売登録者に相談しましょう。また、長期連用する場合も先ほど挙げた人に相談してください。

注意しなければならない副作用としては、発疹・かゆみ・発赤・食欲不振・胃部不快感があり、重篤な症状としては間質性肺炎・肝機能障害・腸間膜静脈硬化症があります。このような副作用があれば直ちに服用を中止し、重篤な症状は医師の診療を受けてください。

辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)

辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)は、中国の医書である外科正宗に収載されている漢方薬であり、昔から使われてきたものです。辛夷清肺湯には、辛夷清肺湯エキス顆粒「クラシエ」(第二類医薬品)や辛夷清肺湯エキス細粒G「コタロー」(第二類医薬品)などがあります。
辛夷清肺湯は体力中程度以上の方向けであり、黄色の粘り気の強い鼻汁や鼻の詰まり、熱感があるような蓄膿症などの鼻症状に用いられています。

効果・効能に鼻詰まり・慢性鼻炎・蓄膿症が挙げられますが、胃部不快感や食欲不振がみられれば医師、薬剤師または登録販売者に相談しましょう。また、医師の治療を受けている人、妊娠または妊娠していると思われる人、体の虚弱な人に加えて胃腸虚弱で冷え性な人は、服用前に先ほど挙げた医療従事者等に相談してください。

葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)

葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)は、名前にもある”葛根湯”が基本になっており、そこに血行作用のある川芎や、鼻炎などに用いられる辛夷が配合されています。そして、比較的体力があり、鼻詰まり・蓄膿症・慢性鼻炎がある場合に用いられます。

医師の治療を受けている人、妊娠または妊娠していると思われる人、体の虚弱な人、胃腸の弱い人、発汗傾向の著しい人、高齢者、今までに薬などで発赤や発疹、かゆみ等を起こしたことがある人、むくみや排尿困難のある人、高血圧・心臓病・腎臓病・甲状腺機能障害の診断を受けた人は、服用前に医師、薬剤師または登録販売者に相談しましょう。

まとめ:蓄膿症に用いられる漢方薬を3つ紹介!

いかがでしたか?今回の内容としては、
・蓄膿症は鼻の横にある副鼻腔に膿が溜まった状態である
・漢方薬には医療用漢方製剤と一般用漢方製剤がある
・蓄膿症とアレルギー性鼻炎の違いは顔のレントゲンを撮った時にあらわれる
・蓄膿症に用いられる漢方薬には荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)、辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)、葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)がある
以上の点が重要なポイントでした。

それぞれの漢方薬として、蓄膿症の方は下記の3点をおさらいして覚えておきましょう。
(1)荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)は蓄膿症・慢性鼻炎・慢性扁桃炎・にきびに効果がある。(2)辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)は熱感があるような蓄膿症などの鼻症状に用いられる。(3)葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)は比較的体力があり、鼻詰まり・蓄膿症・慢性鼻炎がある場合に用いられる。