ストレスで咳が止まらない心因性咳嗽とは?

「最近ストレスのせいか体調を崩しがち…」
「咳が止まらないのはストレスのせい…?」
咳が止まらない時には、肺炎や喘息などの疾患を思い浮かべる方が多いと思いますが、ストレスによって咳が引き起こされる場合もあることをご存じでしょうか?

今回は、咳が起こるメカニズムとともに、ストレスが原因で発生する心因性咳嗽について解説していきます。自身の咳の原因がストレスかもしれない…と感じているのなら、ぜひ参考にしてください。

Contents

咳が起こるメカニズムについて

咳は、ウイルスやほこりなどが咽頭・気管に入り込んだときに、その異物を排出する目的で生まれる体の防御反応です。咽頭と気管の粘膜表面にある咳受容体が異物を感じ取ると、脳の咳中枢に刺激が伝わり、脳からの指示によって咳が発生します。

咳には乾いた咳(乾性咳嗽)と痰の絡んだ湿った咳(湿性咳嗽)の2種類があり、咳を促している原因によって咳の症状に変化があります。咳症状で医療機関を受診するのなら、自分の咳が乾いているか、痰が絡んでいるか、痰が出る場合は痰の色、咳が続く期間、咳以外の症状はないかなどを医師に伝えるようにしてください。

自律神経について

自律神経は活発にする交感神経と、体を休ませる副交感神経があり、この2つがバランスを保って人間の体の健康を維持しています。この自律神経のバランスが崩れると、体調に不調が起き、さまざまな問題につながります。

自律神経が乱れてしまう代表的な原因は次の通りです。
・ストレス
・生活習慣の乱れ
・何らかの疾患
・更年期障害・月経などのホルモンバランスの変化
現代の生活は、交感神経が優位になりやすい環境であると言えるため、意識的に休養・睡眠をとり、副交感神経と交感神経のバランスが崩れないようにするべきです。

咳が止まらない…ストレスが原因となる心因性咳嗽について

ストレスが原因で咳が止まらなくなってしまう状態を心因性咳嗽と呼び、自律神経が乱れてしまうことで起こります。緊張すると咳払いをするという行動も、交感神経が影響しているのです。

心因性咳嗽の原因

ストレスの影響で乱れた自律神経は咳中枢を刺激し、咳反射を引き起こします。通常であれば脳が対処可能ですが、ストレスが溜まっている状態が続くと、神経系にも異常が現れて、咳が止まらなくなってしまうのです。

自律神経の乱れは、気道粘膜も刺激するため、さらに咳が出やすくなります。ストレスを溜めないことを意識した生活を送るべきでしょう。具体的には、しっかりと休息をとる、没頭できる趣味を見つける、ストレスの発散方法を見つけるなどの行動が、心因性咳嗽の予防につながります。

心因性咳嗽の症状

心因性咳嗽では、コンコンという乾いた咳が長期間続きます。場合によっては3ヶ月以上症状が治らない場合もあるでしょう。日中や緊張している時に咳が増えて、何かに集中している時や睡眠中には咳が出ません。発熱はなく、検査をしても体に異常は見つからないでしょう。

また、心因性咳嗽はストレスが原因なので、職場の異動や重要なイベント前などに発症しやすいです。

心因性咳嗽とほかの病気の見分け方

心因性咳嗽とその他の咳の見分け方には、下記のような点があります。
・咳以外の症状がない
・日中や緊張した時に咳が出やすい
・集中している時や睡眠中は咳が出ない
自分の咳の理由がストレスのせいかもしれないと考えたとしても、他の疾患である可能性も疑うべきでしょう。心因性咳嗽だと思っていた咳の原因が、万が一重篤な疾患であった場合は、早期治療のタイミングを逃してしまう恐れがあります。咳はさまざまな疾患で現れる症状なので、十分な注意が必要です。

心因性咳嗽の診断について

心因性咳嗽は、肺炎や結核・気管支喘息など他の疾患でないことが認められた上で、疑われる疾患です。そのため、診断が下されるまでには多くの検査が必要となり、医師にも判断が難しいと言えるでしょう。

また、心因性咳嗽であることが分かれば、心のケアを行いながら薬物療法を進めます。精神的な専門治療が必要な場合もあります。ただし、咳の原因が明らかになり、重篤な疾患ではなかったと分かるだけでもストレスが緩和されて症状が改善する方もいるでしょう。

まとめ:ストレスで咳が止まらない心因性咳嗽とは?

いかがでしたか?ストレスで咳が止まらない心因性咳嗽は、その診断が難しい疾患です。
心因性咳嗽の症状の特徴は、
・乾いた咳が出る
・咳が日中や緊張した時に出やすい
・睡眠中や何かに集中している時には咳が出ない
・発熱などの咳以外の症状がない
などです。さまざまな検査をしなければ診断が困難な病気であるため、自己判断ではなく医師に相談の上で適切な治療を受けるべきでしょう。また、ストレスを溜めない生活を心がけ、健康的な毎日を送ることが、心因性咳嗽の予防につながります。