調剤薬局・零売薬局・ドラッグストアの使い分け~こんな人は零売薬局ではなくドラッグストアへ~

薬を購入することができる場所として調剤薬局やドラッグストア、最近では零売薬局も存在していますが、それぞれが「どのような薬を販売しているのか」をご存知でしょうか?

調剤薬局・零売薬局・ドラッグストアを正しく使い分けるためには、それぞれの場所について深く知る必要があります。そこで今回は、調剤薬局・零売薬局・ドラッグストアについて詳しく解説していきます。

今回の記事を読むことで、「零売薬局ではなくドラッグストアに行けば問題ないな…」「ドラッグストアではなく零売薬局に行く必要があるな…」といった判断ができるようになります。

医薬品の分類について

調剤薬局・零売薬局・ドラッグストアについて理解するためには、薬の分類について理解する必要があります。まずは、医薬品の分類について見ていきましょう。

医薬品の分類 ネット販売可否 対応者
医療用医薬品 処方箋医薬品 不可(対面販売) 薬剤師
処方箋医薬品以外 不可(対面販売) 薬剤師
OTC医薬品分類 ネット販売可否 対応者
要指導医薬品 不可(対面販売) 薬剤師
一般用医薬品 第一類医薬品 ネット販売可 薬剤師
第二類医薬品 ネット販売可 薬剤師・登録販売者
第三類医薬品 ネット販売可 薬剤師・登録販売者

医療用医薬品

「医療用医薬品」は、「処方箋医薬品」と「処方箋医薬品以外」に分けられます。

処方箋医薬品

「処方箋医薬品」とは、文字通り医師が発行する処方箋が必要とし、薬剤師による調剤によって処方される医薬品のことです。「処方箋医薬品」は市販薬に比べて効き目が強い一方、副作用の心配も大きくなります。そのため医師が「どの薬が適切であるか?」「どのくらいの期間の薬が必要か?」という点を、診察のうえ判断しています。

処方箋医薬品以外の医療用医薬品(非処方箋医薬品)

「処方箋医薬品以外の医療用医薬品」とは、文字通り必ずしも処方箋を必要としない医療用医薬品のことをいいます。処方箋を必要としないとしても、安全に提供できるよう販売ルールが定められています。

OTC医薬品

「OTC医薬品」のOTCは「Over The Counter:オーバー・ザ・カウンター」の略で、カウンター越しに販売する形から由来しており、このOTC医薬品は、「要指導医薬品」と「一般用医薬品」に分けられます。

要指導医薬品

「要指導医薬品」とは、処方箋は不要であるが薬剤師による対面での情報提供や指導が義務付けられ、ネット販売ができない医薬品のことをいいます。また、医療用医薬品からOTC医薬品になったばかりのものも、「要指導医薬品」に分類されます。

一般用医薬品

「一般用医薬品」とは、医師による処方箋を必要とせずに購入できる医薬品のことで、一般的に市販薬と呼ばれているものです。さらに一般用医薬品は「第一類医薬品」「第二類医薬品」「第三類医薬品」に分けられます。

第一類医薬品

「第一類医薬品」は一般用医薬品のなかで、副作用や相互作用などの項目で安全面において特に注意が必要な医薬品のことです。(副作用などにより日常生活に支障を来す恐れがある)そのため、第二類・第三類医薬品は薬剤師だけでなく、登録販売者も対応可能ですが、「第一類医薬品」の対応は薬剤師に限られています。

第二類医薬品

「第二類医薬品」は、副作用や相互作用などの項目で安全面において注意が必要な医薬品ですが、「第一類医薬品」ほどではないものをいいます。

第三類医薬品

「第三類医薬品」は、日常生活に支障を来す程度ではないものの、身体の変調や不調が起こるおそれがあるものをいいます。

調剤薬局・零売薬局・ドラッグストアについて

続いて、調剤薬局・零売薬局・ドラッグストアについて見ていきましょう。

調剤薬局とは?

調剤薬局とは、医師が発行した処方箋の指示に基づいて薬剤師が調剤し、患者様に薬と適正使用に関する情報を提供する薬局のことをいいます。そして、接客の場とは別に調剤室が設けられています。処方箋の指示に基づいた医療用医薬品だけでなく、「要指導医薬品」や「一般用医薬品」も販売することが可能です。

つまり、「処方箋医薬品」を購入する場合には、調剤薬局に行く必要があるということです。

零売薬局とは?

零売薬局の「零売」とは処方箋なしでも病院の薬が買える制度のことであり、「零売薬局」は、制度を利用して薬剤師が「処方箋医薬品以外の医療用医薬品」(非処方箋医薬品)を提供している薬局のことをいいます。

零売薬局では、「必要最低限の数量に限定」「薬剤師が調剤室で分割して対面販売」「調剤室または備蓄倉庫での保管と分割」などの条件をクリアしたで、「処方箋医薬品以外の医療用医薬品」を処方箋なしで提供しています。

ドラッグストアとは?

ドラッグストアとは、「OTC医薬品」販売をはじめとして、化粧品や飲料、日用雑貨などを販売している小売店のことをいいます。ドラッグストアでは、医師の診察を受けなくても薬を購入することができますが、それは処方箋を必要としない「OTC医薬品」が販売されているからであり、第二類・第三類医薬品に限っては薬剤師でなくても(登録販売者)提供できます。

ただし、調剤機能を併せ持つドラッグストア(調剤併設型ドラッグストア)も増えているため、調剤薬局とドラッグストアの垣根はなくなりつつあるとも言えます。

こんな人は調剤薬局へ

普段服用している医療用医薬品が「処方箋医薬品」に該当する場合には、医師の診察(処方箋)が必要になりますので、零売薬局やドラッグストアではなく調剤薬局に行く必要があります。

こんな人は零売薬局へ

零売薬局では、医療品医薬品であっても「処方箋医薬品以外の医療用医薬品」であれば処方箋なしで購入することができるため、病院に受診する時間がないが普段服用している薬が必要…という場合に適しています。一般用医薬品よりも高い効果が期待される医療用医薬品(非処方箋医薬品)が必要であり、且つ時間がない人には零売薬局が向いています。

ただし、医師による診察はないため基本的には受診のうえ調剤薬局へ、また、声の出しすぎによる喉の痛みなど、原因がわかり軽度なものは零売薬局ではなくドラッグストアで問題ないでしょう。

こんな人はドラッグストアへ

ドラッグストアでは、医師の診察なく「OTC医薬品」を購入することができますので、受診にかかる時間がありません。例えば、運動による筋肉痛や痛み、かすり傷など原因がわかっているものなどは、ドラッグストアなどで対応するのが手間なく適しているでしょう。また、ドラッグストアは日用品の販売もおこなっていますので、まとめて買い物を済ませたい場合にも適しています。

受診するほどでもない症状があり、且つ「OTC医薬品」での対応で問題ない人にはドラッグストアが向いていますが、自己判断を誤ると病状を悪化させてしまう恐れもあるため、異変を感じればすぐにかかりつけ医に診断してもらいましょう。

まとめ:調剤薬局・零売薬局・ドラッグストアの使い分け~こんな人は零売薬局ではなくドラッグストアへ~

いかがでしたか?今回の内容としては、

・医療用医薬品は「処方箋医薬品」と「処方箋医薬品以外の医療用医薬品」に分けられる

・「OTC医薬品」は「一般用医薬品」と「要指導医薬品」に分けられ、「OTC医薬品」はドラッグストアでも手に入る

・医師の診察と処方箋が必要となる場合は調剤薬局へ

・時間がないが医療用医薬品(非処方箋医薬品)が必要な場合は零売薬局へ

・「一般用医薬品」で対応可能な場合はドラッグストアへ

以上の点が重要なポイントでした。薬の分類と各場所の取り扱い薬について理解できると、自身の状況では「どこを利用するのが適しているのか…?」という点が分かります。薬が必要な状況である方は、まずは服用する薬が「処方箋医薬品」なのか、「処方箋医薬品以外」なのか、「OTC医薬品」なのか確認すると良いでしょう。

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