心房細動と心房粗動の違いとは?

2022.10.04

「心房細動と心房粗動にはどのような違いがあるのだろう…」
心房細動と心房粗動はどちらも不整脈の原因の一つで、脈を早くして頻脈を引き起こします。似た症状の出る2つの疾患には、どのような違いがあるのでしょうか?

今回の記事では、心房細動と心房粗動の違いについて、分かりやすく解説していきます。

Contents

心房細動と心房粗動について

心房細動と心房粗動は、心臓の収縮があまりに早くなって心房壁が震え、その刺激が心室まで到達し、心室も通常より速く収縮してしまう状態のことです。

高齢者に多い疾患で、間欠的または持続的に発生します。代表的な症状には、動悸・胸の痛み・めまい・ふらつき・息切れ・脱力感などがあり、心室の収縮の速さに応じて症状の程度が変わるでしょう。

心房細動とは?

心房細動は、心房が小刻みに痙攣するもので、めまいや動悸を起こしたり、心不全や脳梗塞の原因になります。心房細動には、発作が一時的である発作性心房細動、一週間以上続く持続性心房細動、長期にわたって続く慢性心房細動があります。心房細動では、心臓を動かす電気信号を送る洞結節からの命令とは別に、異常な電気が洞結節以外から発生して、心房全体が震えてしまいます。心房の中で電気信号が回り続けたり、心室の動きが不規則になったりして、通常よりも拍動が増加します。

心房粗動とは?

心房粗動は、洞結節からの電気信号が、右心房の中の三尖弁輪のまわりをまわっている状態に陥り、1分間に240回以上という通常よりも非常に速いペースで電気刺激が旋回することで生じる不整脈です。ただし全ての電気信号は心室に伝わらないため、必ずしも重篤な症状を起こすとは限りません。

心房細動と心房粗動の違いとは?

心房粗動では、規則正しく脈が速くなるのに対して、心房細動は不規則に脈が速くなります。また電気信号の旋回が異なり、心房粗動は旋回する電気ループが一つでぐるぐる同じところを回っているのに対し、心房細動は電気ループが複数できてそれが動き回っています。さらに電気信号の回転の速さにも違いがあり、心房細動の方が心房粗動よりも多く回転します。

心房細動と心室細動の違いとは?

心房細動に似た名前のものとして、心室が速く震える心室細動があります。名前は似ているものの、症状の危険度は大きく異なります。心房細動が起こったとしても心臓から血液が全身に送り出されますが、心室細動の場合心室が細かく震えることによって血流が著しく低下するため、心停止につながってしまいます。

心房細動と心房粗動の原因とは?

心房細動と心房粗動が起こる原因には、心疾患の他に以下のような疾患が考えられます。
・高血圧
・冠動脈疾患
・心房弁膜症
・甲状腺機能亢進症
また、飲酒や加齢といったものも原因となります

心房細動と心房粗動の合併症

心房細動と心房粗動は、重篤な合併症を招く恐れのある疾患です。どちらの場合も心拍毎に、全ての血液が心室に十分に送り込まれなくなることから、心房内に残った血液がよど
み、血栓を形成してしまう恐れがあるのです。

できてしまった血栓が血液の流れに乗って体内を移動すると、脳などの細い動脈に詰まってしまうでしょう。その結果、脳梗塞・脳卒中のリスクが高まります。また、心拍が速くなり過ぎることで、完全に血液で満たされる機会のなくなった心室から血液の量が減少し、心不全を引き起こす可能性も考えられます。

心房細動と心房粗動の治療方法

ここでは、心房細動と心房粗動の代表的な治療方法を紹介しましょう。

薬物療法

心房細動と心房粗動の治療に使われる薬剤には、脈を抑えるもの、血栓を予防するものの2つの種類があります。どちらの薬も効果に個人差が大きく、副作用もあるために医師には慎重な判断が求められるでしょう。

カテーテルアブレーション

カテーテルアブレーションでは、心房の異常な回路や部分に対してカテーテルを使った冷凍凝固・焼灼を実施します。

具体的には、局所麻酔をした後に首・鎖骨の下・足の付け根を走る血管に直径2mm程度の管を入れて心臓まで進め、検査と治療を行うのです。カテーテルアブレーションは、不整脈の発生を抑える効果的な手術です。

まとめ:心房細動と心房粗動の違いとは?

いかがでしたか?今回の内容としては、
・心房細動は心房が小刻みに痙攣するもので、めまいや動悸を起こしたり、心不全や脳梗塞の原因になる
・心房細動と心房粗動の違いとしては、心房粗動では規則正しく脈が速くなるのに対して、心房細動は不規則に脈が速くなる
・心房細動と心房粗動の治療には薬物療法やカテーテルアブレーションといった治療がおこなわれる
以上の点が重要なポイントでした。心房細動・心房粗動のどちらも脳梗塞・脳卒中・心不全などの重篤な合併症を引き起こす恐れのある疾患ですので、医師の指示通り治療を進めていきましょう。