ロコイド軟膏に含まれるヒドロコルチゾン酪酸エステルを含有する市販薬を紹介!

「皮膚が赤く腫れてしまった…」
「かゆみがなかなか治まらない…」
このような症状があらわれてお困りの方はいらっしゃいませんか?医療用医薬品のロコイド軟膏0.1%に含まれるヒドロコルチゾン酪酸エステルは、そのような症状に対して効果的な成分です。

ヒドロコルチゾン酪酸エステルが含まれているのは、医療用医薬品のロコイド軟膏だけでなく、市販薬にも存在します。今回の記事では、ヒドロコルチゾン酪酸エステルに着目し、その効果や成分が含まれる市販薬について紹介していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

今回の記事では以下のことを知ることができます。
・ヒドロコルチゾン酪酸エステルが成分のロコイド軟膏とは何か?
・ロコイダン軟膏(ヒドロコルチゾン酪酸エステル)の効能・効果
・ロコイダン軟膏(ヒドロコルチゾン酪酸エステル)の副作用や使用上の注意
・ヒドロコルチゾン酪酸エステルを含有するセロナ軟膏やオイラックスAについて

Contents

ヒドロコルチゾン酪酸エステルが成分のロコイド軟膏0.1%とは?

今回は、ヒドロコルチゾン酪酸エステルとそれが含まれる市販薬がテーマですが、ヒドロコルチゾン酪酸エステルの理解を深めるために、ロコイド軟膏について軽く触れておきます。ロコイド軟膏(鳥居薬品株式会社が製造販売元)は、皮膚の炎症をおさえる働きがあり、赤み・腫れ・かゆみなどの症状を改善する合成副腎皮質ホルモン、いわゆるステロイドの外用薬です。

ステロイドは強い作用を有する薬として有名ですが、もともとは副腎という臓器から生成されるホルモンであり、抗炎症作用や抗免疫作用があります。医薬品で用いられるステロイドは人工的に作られたもので、剤形は塗り薬だけでなく内服薬や注射薬など様々となっています。そして、患者さまの症状によって使い分けられますが、ロコイド軟膏は湿疹やアトピー性皮膚炎などの炎症性皮膚疾患の治療に使われます。

ヒドロコルチゾン酪酸エステルとステロイド外用薬の強さ

ステロイドは効果の強さによって『最も強い(strongest)』『とても強い(very strong)』『強い(strong)』『普通(medium)』『弱い(weak)』の5つのランクに分けられており、ロコイド軟膏(ヒドロコルチゾン酪酸エステル)は数種類あるステロイドのなかでもミディアムランク(普通)の作用があります。

参考:アトピー性皮膚炎ガイドライン2018(25項)
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/atopic_gl1221.pdf
(アトピー性皮膚炎ガイドラインは、公益社団法人日本皮膚科学会が定めたものです。ロコイド軟膏の製造販売元である鳥居薬品株式会社もガイドライン作成のために出資しています。)

この5つのランクは以下の2つによって評価、分類されています。
・血管収縮指数(血管の収縮指数を示し、指数が高いほど作用が高い)
・臨床の効果

ロコイド軟膏0.1%は市販されている?

ロコイド軟膏0.1%は医療用医薬品であるため、市販はされていません。薬は医療用医薬品とOTC医薬品に分けることができ、医療用医薬品は基本的に受診の上処方箋を発行してもらい受け取る必要があります。一方でOTC医薬品は、処方箋を必要とせずドラッグストアや通販(第一類医薬品~第三類医薬品)などで購入できる薬です。

ロコイド軟膏0.1%は市販されていませんが、冒頭でも軽く述べたように有効成分(ヒドロコルチゾン酪酸エステル)が同一の市販薬は存在します。続いて、市販薬のロコイダン軟膏(指定第二類医薬品)について見ていきましょう。

ロコイダン軟膏(ヒドロコルチゾン酪酸エステル)の効能・効果

ロコイダン軟膏は、ロコイド軟膏と同じ鳥居薬品株式会社が製造販売元であり、ヒドロコルチゾン酪酸エステルを主成分とする指定第二類医薬品です。

具体的な効能・効果は以下のとおりです。
・湿疹
・皮膚炎
・かぶれ
・かゆみ
・虫さされ
・じんましん
・あせも
このように、ヒドロコルチゾン酪酸エステルは抗炎症作用を持ち、さまざまな皮膚の疾患に使用されます。ただし、5~6日間使用しても症状がよくならない場合は医師、薬剤師または販売登録者に相談しましょう。

ロコイダン軟膏(ヒドロコルチゾン酪酸エステル)に副作用について

ロコイダン軟膏(ヒドロコルチゾン酪酸エステル)は、指定第二類医薬品であり、ドラッグストアだけでなく通販でも購入することが可能です。ただし、第二類医薬品のなかでも指定第二類医薬品は特に注意を要するものであるためそれを理解し、添付文書には必ず目を通しましょう。

副作用としては、
・発疹
・発赤
・かゆみ
・みずむし
・たむし等の白癬
・にきび
・化膿症状
・持続的な刺激感
以上が挙げられます。このような副作用は、水疱瘡やみずむし、化膿している患部に塗ってしまうと起こりやすくなり、また症状が悪化してしまう恐れがありますので、塗らないようにしてください。そのほかにしてはいけない注意点としては、顔面には広範囲で使用しないこと、そして長期連用しないことです。

ロコイダン軟膏(ヒドロコルチゾン酪酸エステル)はどんな時に使用する?

前述の効能・効果の章を参考に以下の症状について解説します。
・皮膚炎
・じんましん
・あせも
これらの症状はなんとなく理解しているつもりでも、あらためて頭に入れることが大切です。なぜなら、ほかの症状に使用してしまうと症状の悪化につながってしまう恐れがあるためです。

皮膚炎

皮膚炎とは、皮膚の表面に起きる炎症の総称であり、湿疹と呼ぶこともあります。
皮膚炎は総称であるため症状はさまざまであり、
・皮膚が赤くなる
・かゆみが起こる
・水ぶくれができる
・かさぶた
・ただれ
・鱗屑 など
これらの症状が挙げられます。皮膚炎が起こる原因としては、皮膚の乾燥や刺激物、アレルゲンに対する皮膚の反応となっています。

後に紹介する「じんましん」や「あせも」も皮膚炎の一種であり、そのほかかぶれも具体的な皮膚炎の症状になります。

じんましん

じんましんとは、皮膚が赤くもり上がり、かゆみを伴う病気です。じんましんは一旦消失しても、繰り返し出現することがありますが、大体の人が1週間以内に治ります。かゆみの特徴はちくちくした痒みで、焼けるような感覚になることもあります。じんましんができる原因としては、ストレスや発汗、物理的な刺激、食べ物やウイルス感染などさまざまです。

あせも

あせもとは、大量の発汗のあとにできることが多い吹き出物(小さな発疹や小さな水疱)であり、汗が詰まってできてしまう皮膚の炎症です。正式には汗疹(かんしん)といって大量に発汗したところにあらわれますが、涼しい環境で過ごすと自然に消えていきます。そのため、エアコンで温度調節できる環境が良いと言えるでしょう。

また、セルフケアのためには、空調の活用だけでなく、汗をかいたらこまめに拭くこと、通気性のよい服を着ることなどを意識すると予防することができます。あせもができやすい箇所としては、脇やお腹周り、首回りが挙げられますので、このような部位は汗をかいたらこまめに拭くと良いでしょう。

ロコイダン軟膏を使用してはいけない症状や患部について

ロコイダン軟膏を使用してはいけない症状や患部として、
・水疱瘡
・みずむし
・化膿している患部
以上をすでにお伝えしてありますが、それぞれの症状を具体的に見ていきましょう。

水疱瘡

水疱瘡(みずぼうそう)は、かゆみをともなう水ぶくれが体全体に起こる病気であり、水痘帯状疱疹ウイルスというウイルスによって生じます。この水痘帯状疱疹ウイルスに初めてかかった際に引き起こされるため、多くの人が10歳までに感染します。ただし、大人になってからかかる人もおり、大人になってからですと症状が重たくなる傾向にあります。

水疱瘡は、多くの人が10歳までに感染するものであり、接触感染・飛沫感染・空気感染でうつる病気ですので、出現したすべての発疹がかさぶたになるまで出席停止しなければなりません。ちなみに、一度水疱瘡にかかると二度かかることはなく、終生免疫ができます。

みずむし

みずむしは、白癬菌というカビの一種が足裏などに増殖して起こる感染症のことをいいます。みずむしは足裏にできるイメージがあるかと思いますが、実は足裏だけでなく爪や手指、からだなどにあらわれることがあります。ただし、足裏は蒸れやすいためイメージされる方も多いように、みずむしがなりやすい部位になります。

みずむしの症状としては、
・小さな水疱ができる
・かさかさ乾燥して皮がむける
・指の間が白くふやける
・爪の先が白くにごる
・爪がボロボロになる
などが挙げられます。

白癬菌が増殖してしまう原因としては、
・蒸れやすい靴をはく
・高温多湿な環境
・小さな傷がある
・皮膚のバリア機能が下がっている
などが挙げられます。

化膿している患部

化膿とは化膿性炎のことであり、傷部分から細菌が入りこむことで炎症を起こして、膿がでてくるものです。そもそも膿とは、細菌を退治するために戦って壊れた白血球や死んだ細菌などを含んだ液体のことであり、緑色や黄色といった色になっています。また、においや粘りがあるのも特徴です。

傷口から化膿させないためには、傷口についている砂や泥などは十分に洗い流して清潔にすることです。そして、もし化膿してしまった場合には、細菌が入るのを防ぐために絆創膏を貼ることをおすすめします。ただし、貼り続けてしまうと膿がひどくなってしまう場合がありますので、最低でも1日1回こまめに絆創膏は変えましょう。

ロコイダン軟膏はどんな時に使用するか、そしてどんな時に使用してはいけないのか、という点が深く理解できたのではないでしょうか?ヒドロコルチゾン酪酸エステルは市販薬でも使用することができますが、医師の処方箋がなくても使用できてしまうため、この辺はしっかり理解することが大切です。

ロコイダン軟膏(ヒドロコルチゾン酪酸エステル)の使用方法

ロコイダン軟膏は、1日に数回適量を塗布します。その際に、こすらないように意識し薄く塗りましょう。顔のまわりや陰部などの皮膚が薄い部位にも使用が可能ですが、顔面には広範囲に使用しないようにしましょう。症状が改善してきたら、徐々に使用量を減らしてください。

妊娠・授乳中や赤ちゃん、高齢者への使用は?

妊婦または妊娠している可能性のある女性に関しては、大量または長期にわたる広範囲の使用を避けましょう。そして、使用前に医師、薬剤師または販売登録者に相談してください。

また、高齢者にも使用することができますが、高齢者への使用は副作用があらわれやすいため、今回紹介した副作用は頭に入れておきましょう。そして、小児に使用することも可能ですが、使用させる場合には保護者が見ている前で使用させてください。万が一、目に入った場合には水またはぬるま湯で洗ってあげましょう。そしてもし、目に入って症状が重たくなる場合には、眼科医の診察を受けてください。

ヒドロコルチゾン酪酸エステルが含まれるほかの市販薬

ヒドロコルチゾン酪酸エステルが含まれる市販薬には、ロコイダン軟膏以外にセロナ軟膏(製造販売元:佐藤製薬株式会社)やオイラックスA(製造販売元:ジャパンメディック株式会社)があります。最後に軽くこれらの市販薬についても見ていきましょう。

セロナ軟膏(指定第二類医薬品)

セロナ軟膏も、ロコイダン軟膏と同様にヒドロコルチゾン酪酸エステルが主成分であるため、皮膚炎やあせも、じんましんなどが効能になります。また、ロコイダン軟膏に含まれる添加物はステアリルアルコール・パラフィン・ワセリンとなっていますが、セロナ軟膏も同様の添加物が含有しています。

さらに、使用してはいけない症状として、水疱瘡、みずむし、化膿している患部、といったように同じ症状が挙げられます。

オイラックスA(指定第二類医薬品)

ロコイダン軟膏やセロナ軟膏はヒドロコルチゾン酪酸エステルが主成分でしたが、オイラックスAは、ヒドロコルチゾン酪酸エステル以外に、かゆみをおさえるクロタミトン・ジフェンヒドラミン塩酸塩、炎症を鎮めるグリチルレチン酸、皮膚の組織修復を助けるアラントイン、殺菌作用を持つイソプロピルメチルフェノールが含有されています。含まれる成分に関連して塗布後にほてりを感じることがありますが、短時間で消えます。

効能・効果としては、
・しっしん
・かぶれ
・虫さされ
・かゆみ
・じんましん
・皮膚炎
・あせも
上記に加えて「しもやけ」も効能・効果に含まれています。

まとめ:ロコイド軟膏に含まれるヒドロコルチゾン酪酸エステルを含有する市販薬を紹介!

いかがでしたか?医療用医薬品のロコイド軟膏の成分であるヒドロコルチゾン酪酸エステルは、ロコイダン軟膏やオイラックスA、セロナ軟膏といった市販薬にも含まれていることがお分かりいただけたでしょう。

どのような時につかえるのか、そしてどのような症状には使用してはいけないのかという点は、市販薬を利用する上で非常に重要ですので、今回の内容を参考にしていただければと思います。また、今回の薬に限らず薬には副作用がありますので、その点を理解して使用上の注意を守るようにしましょう。