便秘の危険な症状とは?~器質性便秘は病気が原因~

誰しも経験したことがある便秘は、特に治療を受けずに放置されやすいものでもあります。普段から便秘がちで、便秘の状態に慣れてしまっている方もいるでしょう。しかし便秘には、すぐに治療が必要な病気が潜んでいる可能性もあります。

今回の記事では、便秘症状の中でも特に注意するべき症状について説明しましょう。この記事で紹介するような症状があるのなら、なるべく早く医療機関を受診してください。

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便秘とは?

便秘と言うと、「◯日間も排便がない状態」というイメージがありますが、実際には便秘には正式な基準が設けられておらず、排便がおこっていても便秘である可能性も考えられます。

慢性便秘診療ガイドライン2017では便秘のことを「本来体外へ排出すべき糞便が十分かつ快適に排出できない状態」と定義していのです。そのため「◯日に一回」という排便回数や頻度だけでなく、本人に不快感があるか・残便感があるかも考慮した上で、便秘であるかどうかが決まると考えれば良いでしょう。

逆に考えると、2日以上排便がなくても、本人に不快感がなくそれが日常的な排便習慣であるのなら、便秘ではないと言えます。

日本内科学会雑誌第109巻第2号 (慢性便秘症診療ガイドライン2017)
参考:https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/109/2/109_254/_pdf/-char/ja

便秘の原因とは?

便秘の原因にはさまざまなものがあり、複数の原因が関係している場合も考えられます。
具体的な便秘の原因の例は下記の通りです。
・ストレスで自律神経が乱れて腸の働きが鈍くなっている
・運動不足で腸が硬くなっている
・便意の我慢によって直腸が鈍感になっている
・食生活が乱れており健康的な便が形成できない
・水分不足によって便が硬くなっている
・腸内環境のバランスが崩れて悪玉菌が増えている
・ホルモンの影響で生理前に大腸のぜん動運動が抑制されている(女性の場合)
日常的に便秘の症状が続いているという方は、生活習慣の見直しやストレスを溜めない対策などを考えるべきでしょう。便秘薬の服用など一時的な対応だけでは、便秘を繰り返す可能性があります。

便秘の症状

便秘になると、次のような症状が現れます。複数の症状が現れる方も多いでしょう。
・排便が何日間もない
・下剤などを服用しないと排便できない
・お腹が張って苦しい
・残便感がある
・便が硬くコロコロしている
・吐き気がある
・食欲がない
・排便時に痛みがある
また、本来は体から排出されるべき老廃物が留まることで、体臭や口臭が強くなる・肌荒れが起こるなどの問題が発生する方もいます。血流も悪くなり、さまざまな体調不良を引き起こしてしまうのです。

便秘の種類

便秘にはいくつかの種類があり、それぞれ便秘を引き起こす原因・症状が変わります。特に注意するべき器質性便秘は、医療機関での診察を受けなければ、その原因を突き止められません。

器質性便秘

器質性便秘は疾患を原因として起こる便秘のことを指しています。代表的な器質性便秘を引き起こす疾患には、大腸がん・イレウス(腸閉塞)などがあります。

機能性便秘

機能性便秘は文字通り腸の機能の問題によって起こる便秘のことで、次のような3つの種類に分けられます。

弛緩性便秘

腸管の緊張がゆるみ、ぜん動運動が抑制されて便が移動できなくなる状態です。大腸内に便が長期間留まって硬くなってしまいます。運動不足や水分不足が原因で起こりやすく、女性や高齢者に多い便秘です。

直腸性便秘

直腸まで便が移動しても便意が起きず、肛門の手前である直腸に便が留まってしまう状態です。便意を我慢することが多い方・体を動かす機会が少ない寝たきりの高齢者などに発生しやすいです。

けいれん性便秘

副交感神経が優位になり腸管が緊張して便がうまく運ばれないことで引き起こされる便秘です。ストレスを抱えている方や、過敏性腸症候群が原因になる場合が多く、ウサギのようなコロコロとした形状の便が出るようになります。残便感を感じやすい便秘です。

便秘の危険な症状|考えられる疾患について

冒頭でもお伝えしたように、便秘の症状は何らかの疾患によって引き起こされている可能性があります。危険性のある症状を「ただの便秘だ」と考えて放置することで、命に関わるような重篤な状態に陥ってしまう方もいるのです。

ここでは、注意するべき便秘の症状と、考えられる疾患について紹介します。

大腸がん

大腸がんは早期発見によって治癒率が高くなる疾患です。大腸は虫垂から始まり、肛門までつながっている部位のことで、その間にある直腸やS状結腸に悪性腫瘍に大腸がんが発生しやすいです。50歳以上の方に発生しやすく、特にアルコール・タバコ・肥満・遺伝・偏った食事などを原因として引き起こされます。

大腸がんの初期症状には急な便秘・便秘と下痢の繰り返し・血便などがあります。便通の変化は大腸がんの早期発見に欠かせない要素だと言えるでしょう。大腸がんを早期発見した方の多くは、便意の変化を感じて医療機関を受診しています。

イレウス

イレウスは日本語で「腸閉塞」と呼ばれる疾患で、癒着・腫瘍などによって腸管が折れ曲がる・狭くなる・完全に塞がることで便が移動しにくい状態になってしまいます。腹部外傷や腹部手術歴のある方に発生しやすく、腸内に便や腸液が溜まり続けるために、便秘や腹痛・吐き気・嘔吐を伴う場合もあります。血流障害も招くと、ショック症状につながる非常に危険な疾患です。

イレウスにはいくつもの種類があり、腸がねじれることで起こる絞扼性イレウス・腸の癒着や腸内の腫瘍によって起こる閉塞性イレウス・腸管が麻痺拡張する麻痺性イレウスなどに分類されます。イレウスの治療には、絶食や点滴、腸管の圧力を下げて治療を進める保存療法、手術によって腫瘍・腸管を切開するなどの方法があります。腸管の損傷が激しい場合には、腸管を切除しなくてはいけません。

まとめ:便秘の危険な症状とは?~器質性便秘は病気が原因~

いかがでしたか?便秘の危険な症状には、便秘と下痢を繰り返す・血便・吐き気や嘔吐などがあります。器質性便秘の原因となる大腸がんやイレウスは早急な治療が必要であるため、思い当たる症状がある時には早く医療機関を受診しましょう。