体がゾクゾクする。頭痛がして熱っぽい。
最近寒い日が続いていたし、もしかして風邪かも?
そんな風邪のひき始めに飲む薬として定番の葛根湯。
市販されているのをよく目にする薬ですが、ドラッグストアでは販売をしていない医療用の葛根湯もあります。
このコラムでは葛根湯はどんな漢方薬なのか、葛根湯に副作用はあるのか、妊娠中や授乳中は葛根湯を飲めるのかといった疑問についてお答えし、やむを得ず受診できない時に医療用の葛根湯を購入できる零売薬局について紹介します。
葛根湯は漢方薬のひとつです。解熱や鎮痛の効果がある「葛根」を主な生薬とし、他に6つの生薬を含みます。
葛根湯はさまざまな製薬会社から販売されていますが、含まれている生薬の種類や効果・効能に大きな違いはありません。
ですが、製薬会社により生薬の配合量には違いがあります。また散剤、エキス剤、錠剤といった薬の形によって用法・用量が異なります。
ここではツムラの葛根湯の添付文書をもとに、効果がある症状や用法・用量、副作用について解説します。
葛根湯の効果または効能は次の通りです。
自然発汗がなく頭痛、発熱、悪寒、肩こり等を伴う比較的体力のあるものの次の諸症:
感冒、鼻かぜ、熱性疾患の初期、炎症性疾患(結膜炎、角膜炎、中耳炎、扁桃腺炎、乳腺炎、リンパ腺炎)、肩こり、上半身の神経痛、じんましん
汗がなく体力がある方の頭痛や鼻づまり、悪寒、発熱、肩こりといった風邪のひき始めの症状に効果があります。
上半身を温める効果もあります。風邪以外でも首や肩がこっているときや、緊張でこわばっているときに有効です。
また扁桃腺炎や中耳炎などの熱を伴う炎症にも効果があります。
葛根湯にはカッコンのほか、以下の6つの生薬が配合されています。いずれも植物由来です。
・タイソウ
・マオウ
・カンゾウ
・ケイヒ
・シャクヤク
・ショウキョウ
タイソウには滋養強壮や体の緊張を緩和する効果があります。
カンゾウ、ケイヒ、シャクヤクには鎮痛や解熱といった風邪の症状に効果があります。
マオウは発汗や排尿などの効果があり、水分の排出を促します。また咳を抑える効果があるためぜんそくの治療にも用いられます。
ショウキョウは生姜が由来です。胃液の分泌や消化を促すほか、漢方薬に混ぜることで飲みやすい味にする役割もあります。
葛根湯はこれらの生薬の作用で体を温め発汗を促すことで、風邪のウイルスを体の外へ出して体の調子を整えます。
漢方薬には、一番多く含まれている生薬の名前をつけるものが多くあります。そのため「葛根湯」と名前についている漢方薬が他にもあります。
例えば升麻葛根湯(しょうまかっこんとう)は風邪の初期の症状のほか、皮膚炎や発疹にも効果があります。カッコン、シャクヤク、カンゾウ、ショウキョウと、解熱効果があるショウマの5つの生薬からなります。
また葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)は鼻詰まりや蓄膿症、鼻炎の症状に効果があります。葛根湯に、鼻詰まりに効果があるシンイと血行を良くするセンキュウが加わったものです。葛根湯と異なり、風邪の症状にはあまり適していません。
葛根湯は古くから風邪のひき始めに飲むとされていますが、理由はご存知ですか?
漢方薬について書かれた文献によると、葛根湯は「実証」の患者が「太陽病」のときに飲むのがよいとされています。
実証とは患者の体質や体格の特徴を表した言葉です。がっしりしていて胃腸が丈夫、体力がある、食欲がある、顔色が赤い、元気、便秘気味といった人を指します。
それに対する言葉に「虚証」があります。痩せ型で胃腸が弱い、体力がない、食欲がない、顔色が青白い、疲れやすい、下痢気味といった特徴の人が当てはまります。
ある特徴は虚証だが別の特徴は実証に当てはまるといった場合は「中間証」あるいは「虚実間証」と言います。
また東洋医学では病気の進行状況を陽と陰で表します。陽から陰へ六段階で進行していくとされており、各段階に名称と症状の特徴があります。
葛根湯を飲むタイミングである「太陽病」は病気の最初期の段階です。症状には皮膚・頭・腰などの体表面の熱や頭痛、関節痛、肩や首まわりのこりがあります。
葛根湯は体の中の有害なものを、体を温め汗や尿にして外に出そうとする漢方薬です。よって比較的体力があり胃腸が丈夫な人が、寒気や喉の痛み、軽い頭痛や肩こりを感じ「あれ、もしかして風邪?」と思ったら早い段階で飲むのが適しているのです。
同じ風邪でも、体力がない方やすでに汗をかいている方は「桂枝湯」、胃腸が弱い方には「参蘇飲」などご体調に合わせて利用する漢方薬も使い分けましょう。
零売薬局では自分の判断で葛根湯を飲むのは不安だな、他の漢方薬についても知りたいという方のために薬剤師が相談説明をいたしますので、自分にあったものを手に入れましょう。
葛根湯は通常成人の方で1日7.5gを1日2回または3回に分けて飲みます。
製薬会社や薬の形によって一回分の量と飲む回数が異なります。薬を飲む前に説明書に書かれた用法・用量を必ず確かめてください。
食事の前または食間に飲むのが一般的です。
食間とは食事と食事の間のことで、空腹時の服用を指示しています。前の食事の約2時間後が目安です。
ドラッグストアで葛根湯を買う際に粉末タイプや液体が瓶に入った内服液など、さまざまな種類があり迷ったことはありませんか?
漢方薬は本来、患者一人ひとりの体質や症状の程度にあわせて作ります。いわばオーダーメイドの薬です。煎じ薬として作られた漢方薬が多いですが、毎日1時間ほどかけて煎じるのは大変です。
そこで現在ではさまざまな製薬会社が生薬のエキスを抽出した散剤や液体を作っていて、手軽に飲めます。
散剤は粉末の薬です。一回分が一袋に入っています。粉が喉に張り付いて飲みづらいという方もいますので、そういった方は顆粒や内服液を試してみて下さい。
内服液は一回一本を飲みます。蓋をあけてそのまま飲めるので、水が用意できない場合やすぐに飲みたいときに便利です。
また漢方薬の苦味や匂いが苦手な方には錠剤がおすすめです。
ご自分の生活習慣や薬の飲み方に適した形を選ぶとよいでしょう。
葛根湯は胃腸が弱い方が飲むと下痢や吐き気、食欲不振といった副作用が出る可能性があります。一緒に胃腸薬を処方してもらったり、空腹を避けて飲んだりすることで副作用を和らげられます。しかし副作用が強く出る場合は葛根湯を飲むのをやめて医師や薬剤師へ相談してください。
また以下の方も病気や症状が悪化する可能性があります。医師や薬剤師に相談し、葛根湯の服用には注意してください。
・狭心症、心筋梗塞など循環器系の障害がある方や既往歴がある方
・重症高血圧症の方
・高度の腎障害がある方
・排尿障害がある方
・甲状腺機能亢進症の方
他に飲んでいる薬やサプリメントがある場合も医師や薬剤師に相談して、葛根湯を服用しても良いか確認するようにして下さい。
重大な副作用として、まれに以下の症状が出ることが報告されています。
・偽アルドステロン症(血圧低下、むくみ、体重増加など)
・ミオパチー(脱力感、手足のしびれなど)
・肝機能障害、黄疸
その他、発疹や痒み、不眠、発汗過多、頻脈、動悸、全身脱力感、精神興奮、食欲不振、吐き気、嘔吐、排尿障害などの副作用も確認されています。
このような症状が出た場合はすぐに服用をやめて、医師や薬剤師に相談してください。
葛根湯は体力が衰えている方や衰弱している方が飲むと副作用がでやすくなります。また子どもや高齢者にも適しません。
そういった方には葛根湯より体への作用がおだやかな「桂枝湯」が使われることがあります。葛根湯と同じく体を温めて、風邪のひき始めの症状に効果があります。
妊娠中で風邪薬が飲めないから葛根湯が飲みたいという方、授乳中でも葛根湯なら飲めるって聞いたけど本当なの?と思う方もいらっしゃるでしょう。
現状、妊娠中の方や授乳中の方への葛根湯の安全性は確立していません。添付文書には「妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」とあります。
したがって妊娠中や授乳中の服用は避けたほうが安心です。
風邪の症状が辛い、風邪を悪化させたくないので薬が飲みたいという場合は、かかりつけの産婦人科や近くの医療機関を受診し、医師に相談してください。
葛根湯は第2類医薬品に指定されています。
したがって薬剤師または登録販売者がいるドラッグストアやコンビニエンスストアで購入できます。
ですが病院で処方箋をもらって医療用の葛根湯を購入することもできます。
ドラッグストアなどにある葛根湯と医療用の葛根湯は何が違うのでしょうか。
漢方薬にはドラッグストアなどで買える「一般用漢方製剤」と、処方箋が必要な「医療用漢方製剤」があります。
一般用の漢方製剤と医療用の違いは、含まれている生薬の量です。(配合の比率は変わりません。)
一般用の漢方製剤は医療用の漢方製剤に比べ生薬が少なくなっています。
これは副作用の危険性を抑えるためです。その分効き目が弱いと感じる方もいるかもしれません。
医療用の漢方製剤は病院に行って処方箋をもらうほかに、医療用の薬の一部を取り扱う零売薬局で買うこともできます。
零売薬局のセルフケア薬局には薬剤師がいます。
副作用が気になる方や、病院に行く時間はないけど医療用の葛根湯が飲みたいという方はぜひ相談してください。
一般的なドラッグストアや調剤薬局では、処方箋がないと医療用の漢方製剤は買えません。
しかし、病院でもらう漢方製剤を処方箋なしで購入できる薬局があります。
それは零売薬局(れいばいやっきょく)です。
零売薬局とは、零売制度を利用して薬を販売している薬局を指します。
零売制度は、止むを得ず病院を受診できない場合などに薬剤師と相談の下、お薬を必要最小量購入できる制度です。最近できた制度ではなく、制度自体は昔からありました。
病院でもらえるお薬(医療用医薬品)には、「必ず処方箋が必要なお薬(処方箋医薬品)」と、「必ずしも処方箋が必要ではないお薬(非処方箋医薬品)」があります。
※全ての医薬品が購入できるわけではありません。
そんな零売薬局ですが、全国どこにでもあるわけではありません。
多くは都内を中心にその他政令指定都市に数店舗と、少ないのが現状です。
しかし、現代の様々な背景から、零売薬局は今後さらに拡大していくと考えられます。
「セルフケア薬局」は零売薬局のチェーン店のひとつです。
現在、関東、東海、関西で展開しています。
セルフケア薬局では薬剤師に気になる症状や体調、薬について相談し、やむを得ず受診ができない際などには約10分で必要な薬を購入できます。
LINEでのご相談はこちらから。
風邪のひき始めの肩こりや頭痛はつらいですよね。
でも仕事や家事、子育てに追われて「まだ高熱がでたわけじゃないし、病院に行くほどでもないかな」と放置してしまうこともあるでしょう。
しかし風邪はひき始めの対処が肝心。体力があり熱が高くないうちに、体を暖かくして薬を飲むのが、長引かせずに治すための第一歩です。
葛根湯を飲みたいけど自分の体質にあうのか。
妊娠中・授乳中だけど葛根湯を飲んでも大丈夫かな。
市販の葛根湯では効果が弱かったから医療用の葛根湯を飲みたい。
そんな方はお近くのセルフケア薬局、またはLINEから、気軽にセルフケア薬局の薬剤師に相談してください。
風邪はひき始めのうちに治して、健康な毎日を過ごしましょう。